理科は何を学ぶ科目?

話を理解したり、何かを学ぶときに重要なことは何でしょう?
いろいろな意見が出るかと思いますが、その中の1つに「主題を先に知っておくこと」があると私は思います。
例えば友達同士が話をしているところに途中で混ざったとき、何の話か分からないままで聞いていて、最後になって「ああ、その話をしてたのか」となった経験はだれしもあるかと思います。これは、最初に提示された話の主題を聞きそびれたことで、話が理解できていなかったといえるでしょう。普段意識していることはあまりないかと思いますが、だれしも話の最初に主題の提示を行います。昨日のドラマでさ…、あのゲームなんだけど…、と最初に何の話題かに触れてから話を始めると思います。そもそも主題が何かを把握できないと話は通じないですよね。

ですから、勉強を学ぶ際にも事前にどういうことを学ぶ教科なのか、つまり教科の主題を知っておくことは重要です。
主要5科目の国語、数学(算数)、理科、社会、英語で、学ぶ主題は何であるかを考えてみましょう。
国語は国の言語を学ぶ教科ですから、日本語を学ぶ教科ですね。
数学は数字を使った学問です。数学とは何かを考えだすと、それだけで一つの学問になるので簡単に書かせてください。
社会は皆さんが住んでいる社会を学ぶ教科です。今の社会がどう出来上がったを歴史で学び、気候や土地の特徴が社会とどう結びついているかを地理で学び、社会の仕組みを公民で学びます。
英語は読んで字のごとく英語を学びますね。

では、理科は何を学ぶ教科でしょう?
理科では、生き物を学んだり、化学法則を学んだり、火山や地震も学びます。なんだか一貫性がないというか、一言で言うのが難しいですね。
私の意見を述べさせていただくと、理科は身の回り出来事のルールを学ぶ教科です。

"ルール"というところを掘り下げながらお話していきます。
例えば、ゲームではボタンによって動きのルールが決まっていますね。Aボタンでジャンプ、Bボタンでダッシュ、十字キーを右にすると右に動くといったルールです。このルールがなかったらとんでもないことになりますね。右に行きたいのにどこに行くかわからない、ジャンプしたいのにしたりしなかったりするとなってはゲームとして成立しません。同じように、今生きている世界もルールがないと成立しないはずです。太陽は西から昇って東に沈む、水を冷やすと氷になるなど。この世界ではどんなルールが決まっているのかを解き明かしたものが、皆さんが学ぶ理科です。つまりは、皆さんが見たり聞いたりする、身の回りの出来事すべてが理科の学ぶ対象であるということです。

今回、理科の主題をテーマにしたのは、この部分を頭の片隅に入れておいてほしかったからです。というのも、特に低学年のうちは、身の回りと実験が結びつかないことが起きてしまうからです。
これはカリキュラム上仕方ないことなのですが、理科の実験は結果ありきで、いきなり実験をすることがあります。例えば、小学6年生の「ものの燃え方と空気」の単元では、いきなり、底のあるびんと底の無いびんの中でろうそくを燃やす実験になります。実験の後、ではものの燃え方の違いを考えましょうとなります。本来は、身の回りの出来事が出発点で、その後に実験が来るべきです。つまり、ものが燃えるという身近な出来事があり、ものが燃えるルールは何だろうかを考えるときに実験が必要になるはずです。
ちょっとした違いなのですが、冒頭にも言った通り主題が最初にないと話がわかりづらいのです。いきなり実験が始まって、実験結果から考える段階で、さて、ものが燃えるルールを考えようと主題が来るわけですから、実験の間、なんでこの実験やるんだろうと思いながら実験することになります。実験が独立してしまっていて、主題との結びつきが弱いというわけです。
繰り返しますが、理科の主題は身の回りの出来事のルールを学ぶ教科です。身の回りの出来事を主題として認識しておき、実験はそれを確かめるための補助であるという理解をしておくと、力の付き方は大いに変わってくると思います。

2023/8/7