自由研究の進め方(3/4)
前回までに「疑問に思ったことを自由に調べて、自分の考えをまとめるもの」のうち、前半部分を解説してみました。今回は後半の「自分の考えをまとめる」の部分を掘り下げていきます。
5-1.自分で予想を立ててみよう
実験方法まで決まってしまえば、あとは実験をするだけです。ただ、その前に必ず自分の予想や考えを一度まとめておきましょう。
このとき、"なぜ"そう考えたかをまとめておけるとさらに良いです。
予想をするときの考え方のコツは、以下の2つです。
(※コツを紹介しているだけで、もっと自由に発想して構いません。自由で突飛な発想が正解かもしれませんから)
①変化させる条件に着目したときに、変動する条件と変動しない条件に着目すること
②事前調査の知識を生かすこと
①変化させる条件に着目したときに、変動する条件と変動しない条件に着目すること
「バットの当たった位置と飛距離の差」を調べるなら、どの場所が飛びそうか予想しますね。この時変化させる条件はバットに当てる位置です。バットに当てる位置が変わると、バットの太さが位置によって変わり、逆に材質はどこの位置でも変わりません。ですから、「バットの太いところが一番飛ぶんじゃないか」と予想してもよいですし、「材質が同じだからどの位置でも変わらない」という予想も立てられそうです。
②事前調査の知識を生かすこと
「自分の住んでいる地域ではどの種類の雲が多いのか」を調べるなら、どの雲が多いか予想してみます。事前に調べた中で季節や気温でできやすい雲があることがわかると思います。そこから「夏の暑い日が続くからあの雲が多いかも」と予想を立てられるかもしれません。
5-2.なぜ予想を立てるのか
なぜ予想を立てるかと言えば、"思考力"を養う上で非常に重要だからです。
学校で習うことや、経験で得ること、自由研究で調べることは、知識の"インプット"と呼ばれます。そのインプットされた知識を使って、自分なりの考えを出してみることを"アウトプット"と呼びます。自分の持っているインプット知識をフル活用して考えることを"思考"と呼び、思考に必要な力が"思考力"です。思考力を養うには、たくさん考える習慣をつけるしかありません。ですから、慣れていないと予想を立てるのはすごく難しいと思います。それでも、訓練と思って頑張って予想してみてください。
予想を立てる段階で1度思考する。結果が出た後でさらになぜそうなったか思考する。一度の研究で少なくとも2回、思考力を養えますからお得ですね。
学校教育でも思考力を伸ばすような指導が増えてきていて、少しずつ変わってきています。しかし、カリキュラムの都合上、どうしてもインプットの授業が多くなってしまいます。本校では思考力を伸ばす授業をモットーとしておりますので、良かったら説明会・体験授業に来てみてください(宣伝すみません)。
ただ、個人的に予想を立てる一番の理由は、予想が当たると楽しいからです。
5-3.実験しよう
さて、予想が立てられたら実験です。実験方法を綿密に立てていても、初めての実験はうまくいかないことがほとんどです。少しずつトライアンドエラーを繰り返してみましょう。また、危険を伴う実験の場合には必ず大人の方と一緒にやりましょう。地道な観察系の研究は、大変ですがコツコツとです。研究のメインどころですが、やるだけなので一番書くことがないですね。
5-4.考察しよう
実験結果がそろったら、わかったことをまとめておきましょう。
結果だけ得ても、そこから何を読み取れるかが研究において最も重要です。
芯が一番飛ぶことがわかった、根元が一番飛びにくい、など結果から読み取ってあげましょう。
さらに一歩踏み込んで、なぜそうなったかを考えられると、とても優れた研究になります。
なぜそうなったかを考えるときのポイントは、結果に差があるところ同士を比べることと、結果に差がないところ同士を比べることです。
例えば「バットの当たった位置と飛距離の差」を調べたら、ボールのはね方に差があったとしましょう。どこに差があったかと言えば、バットの芯と根本で大きくはね方が違いました。芯と根元で違うところというと、バットの太さですから、飛距離にはバットの太さが関係するかもしれないと考えられそうです。しかし、差がないところも見てみましょう。バットの先端と根元の結果が一緒だったとします。そうすると太さは関係してかないかもしれない、となるかもしれません。では先端と根元で比べたときに共通するところは・・・といった感じに考察を広げることができます。
考察も、予想と同じで自由な発想で構いませんし、間違っていて構いません。意外と世の研究者も間違います。常識だと思われていたものが、実はあれは間違いだった、ということも歴史を見たら結構あったりします。しかし、様々な実験を、たくさんの研究者たちが行い、何年もつないできたことで生まれた考察は、ほぼ間違いないだろうとして皆さんの教科書になっていたりします。ですから、考察まで終わった段階で、再度調べなおしてみることをお勧めします。間違ったままにせず、正解を知るということもやはり重要です。
もしかしたら調べなおしても、全く難しくてわからないかもしれません。ここまで例に出してきたバットと飛距離の話も、ちゃんと説明を理解するには高校以上の知識が必要です。ですが、わからなかったという思いを残して、将来の楽しみにしてほしいと思います。
次回はまとめ方をテーマにしたいと思います。
次回で「自由研究の進め方」は最後になると思います。
ぜひご覧ください。
※本記事は個人の意見ですので、参考の一つにしていただけると幸いです。
