自由研究の進め方(2/4)
前回、自由研究とは「疑問に思ったことを自由に調べて、自分の考えをまとめるもの」と言い、「疑問に思ったこと」の部分をお話しました。今回は、「自由に調べて」の部分を掘り下げていきたいと思います。
4-1.調査・実験方法の考え方
研究をするにあたって避けて通れないのは実験(観察)の部分ですね。学校の授業でも理科の実験は人気の授業でしょうから、せっかくやるなら面白い実験をやりたいところですね。しかし、実際に実験をするとなるとどんな実験をすれば良いか困ってしまうのではないでしょうか。
今回は実験方法を考えるポイントを、調査と実験方法に分けてポイント解説していきたいと思います。
4-2.調査について
実験方法を考える前にまずは前回疑問に思ったことを中心に調査をしましょう。調査の仕方は何でもよいです。
本を使う、お父さん、お母さんに聞いてみる、インターネットを使う など…(必ず本のタイトルやサイト名を記録しておきましょう。)
おそらく疑問の大半はここで答えが返ってくるのではないでしょうか。
分かっているなら無駄じゃないかと思ってはいけません。この調査自体がすでに研究です。極端な話、ここで調べたことをまとめるだけでも、まとめ方によっては自由研究として十分になることもあります。
しかし、せっかくですからもう一段発展させた疑問を持てるようにすると、自由研究としてとても意味のあるものになります。
また、調べたものをまとめるだけだと、「雲」「野球」などテーマが広くなり、薄く中身のないものになることが多いです。調べた結果からさらに発展させると、テーマがまとまった良い研究になりやすいです。
調べたことから発展させる考え方として2つおすすめしておりますので、それぞれ解説していきます。
①調べて分かったことは本当だろうか?
②身近なところではどうだろうか?
①調べて分かったことは本当だろうか?
前回の「雲」と「野球」をテーマに解説をしてみます。
例1 なんで西から東に動くんだろう?
日本の雲がどうして西から東に動くのかと言えば、偏西風という風の影響であると調べるとすぐに出てくると思います。つまり風の影響で雲は動くわけです。じゃあ、それは本当なのかなと疑問を持ってみましょう。風が雲を動かすのなら、風の向きや強さと雲の動き方の関係を調べたら、本当かどうか調べられるかもしれない、と考えを発展させてみるわけです。そうすると、漠然としていた「雲」というテーマから「風と雲の動き」というより具体的なテーマになり、実験方法をどうするかという次のステップに移行できます。
例2 バットのどこに当てるとボールは一番飛ぶんだろう?
どこに当たれば飛ぶかと言えば、いわゆるバットの芯というところであると、サイトの解説や、もっと言うと実経験からもわかるのではないでしょうか。ここで、そうだよなで終わらせずに疑問を持ってみましょう。感覚的には芯が飛ぶけど本当にそうだろうか?実際芯以外の場所と比べてどれくらい違うのだろう?と発展させてみてください。そうすると、「バットの当たった位置と飛距離の差」を調べるというテーマが決まり、実験方法のステップに進みます。
②身近なところではどうだろうか?
同じく「雲」と「野球」をテーマに解説をしてみます。
例1 どんな雲の種類があるんだろう?
雲の種類を調べてみると、基本は10種類と出てきます。なるほど10種類あるんだで終わらせずに、じゃあ毎日の雲の種類を観察してみたらどうだろうかと発展させてみてください。「自分の住んでいる地域ではどの種類の雲が多いのか」でも良いですし、10種の分け方にこだわらず、「わたし的雲図鑑をつくってみよう」でも面白いかもしれません。調べて分かることは"一般論"と呼ばれ、世界的に通じるようにまとめられていることが多いです。もしかしたら身近ではこうだったという新しい発見があるかもしれません。
例2 バットのどこに当てるとボールは一番飛ぶんだろう?
①の例2と同じ疑問ですが、発展のさせる考え方を変えてみましょう。芯が一番ボールを飛ぶと分かったけど、芯で打った時にチームのバットで一番飛ぶのはどれか調べたら面白いかも、といった形です。「バットの飛距離ランキング」というテーマで進めたら、面白いうえ実践に生かせるかもしれませんね。
4-3.実験方法を考えよう
調査をして実験したいテーマが決まったら、実験方法を考えていきましょう。実験方法を考えるポイントを4つ紹介します。
①調べたい項目以外を同じにすること
②繰り返し実験すること
③日付と温度を記録すること
④大人に相談すること
①調べたい項目以外を同じにすること
これが一番重要です。例えば、「バットの当たった位置と飛距離の差」を調べたいとなったら、ボールがバットに当たる位置だけを変化させて飛距離を測定しないといけません。実際に打って検証すると、投げたボールの球速や打つ時の力の入り方が変わってしまいます。
ですので、変わってしまう条件をリストアップして、同じ条件になる工夫を考えましょう。変わってしまう条件を一定にするように意識すると、自ずと実験方法が固まってきます。
例
打つ時の力の入り方 →バットは振らないで、地面に固定する
ボールの球速 →一定になるように、同じ高さからバットに落としてはね方を測定する
ボールの個体差 →同じ一個のボールで実験する
︙ ︙
また、観察がメインであれば、事前に変わってしまう条件をリストアップして、記録する項目を同じにしておきましょう。
「自分の住んでいる地域ではどの種類の雲が多いのか」を調べるなら、日付・時間、温度、気圧などが必須項目になると思います。
②繰り返し実験すること
一度の検証では正確な測定は難しいです。何度かやってみた結果を見ることで、正しい傾向をつかむことができます。
また、観察であれば写真を何枚も撮っておくなど、やはり材料を多く残しておくことが重要です。
③日付と温度を記録すること
これは観察であれ、実験であれ、必ず記録しましょう。
日付は後々まとめるときや振り返るときに重要になります。
また温度は実はどんな実験でもすごく重要になります。なかなか温度の重要性をお伝えするのは難しいので、自由研究ではとりあえず記録しておくものとして覚えておいてくれると嬉しいです。
④大人に相談すること
一人で考えてみてもなかなか難しいです。お父さん、お母さんでも良いですし、私でも構いません。
もしこの記事を読んで、私に相談してみたいと思ったらぜひご連絡ください。塾生であればもちろん、塾に入っていなくてもご返信いたします。
(宣伝を兼ねてます...すみません)
正直、一から実験方法を生み出すのは非常に難しいです。なので、もしもインターネット上にテーマと合致する実験が紹介されていたら、そのままやってみて良いと思います。前回の記事で、Googleで調べたものをそのままやるのをマネしないでと言いましたがが、マネしてほしくないのは、何も考えずにテーマや実験をそのままやっていたことです。自分で持った疑問に対して、実際に実験して確かめてみることが重要です。ここまで読んでいただいていれば、自分の意志と考えでテーマを決め、調査を進めてくれていると思いますので、実験方法を参考にするのは全く悪いことではないと思います。
ただし、なぜそんな実験方法にしたんだろうかと考えてみてください。漠然と真似だけしてもあまり意味がありませんので。
次回は実験と考察をテーマにしたいと思います。
ぜひご覧になってください。
※本記事は個人の意見ですので、参考の一つにしていただけると幸いです。
